Month: July 2017

アイリッシュの世界でいう「モーダル」と、ジャズの世界でいう「モード」は何が違うのだろうか? 英語で書くと、modalとmode。modeが名詞でmodalは形容詞。語源は同じものである。 結論からいえば、ジャズの世界でいう「モード」の方がはるかに広範囲で、理論的で、アドリブや伴奏での応用可能性を指向しているのに対し、アイリッシュの世界でいう「モーダル」は、曲の特徴くらいの意味で使われている。比喩的にいえば、ジャズの世界の「モード」が東京ドームくらいの広さで野球もサッカーも格闘技もコンサートも視野にいれて議論しているのに対し、アイリッシュの世界の「モーダル」は、ピッチャーのマウンドくらいの広さでキャッチボールの話をしている。

12弦ギターでアイリッシュ

12弦ギターでアイリッシュ

  • Comment : 0

アイリッシュ音楽の伴奏楽器といえば、まず思いつくのがGDADチューニングのブズーキ。ドロップDやDADGADにチューニングしたギターを使う人も多い。中にはブズーキの延長線上で、オクターブマンドリンを使う人も。それぞれ、どのようなメリットがあるのだろう? 【ブズーキ】 □メリット 複弦ならではの響き、開放弦の鳴りを活かしやすい ■ディメリット ローポジションはフレット間が広く押さえるのがしんどい、日本では買えるブズーキの選択肢が限られる 【ギター】 □メリット 2オクターブのピッチ幅で作る和音の音の厚み、演奏の万能性、買える楽器の選択肢が豊富 ■ディメリット 6弦あるので鳴らしたくない音のミュートが大変 【オクターブマンドリン】 □メリット ブズーキのメリットはそのまま、加えて日本でも比較的入手しやすい、ブズーキよりは短くメロディ弾きもしやすい。 ■ディメリット 楽器のルーツが違うためかなんとなく異端扱いされている いったいどの楽器が一番アイリッシュ音楽に向いているのだろうか? ネット上のいろんな「おらが村自慢」を読んでいると、結局、演奏の場所や状況、腕前によるようだ。 ブズーキ推しの人は、その音色の魅力はもちろんだが、第3音を出さないモーダルな演奏がしやすいことをメリットに挙げる。確かに6弦あるギターに比べると、4弦をコントロールすれば良いブズーキは、出したくない音を消すのが楽だ。 ギター推しの人は、チューニング次第でメロディ弾きもモーダルのバッキングしやすい万能性や、厚みのある音域での演奏可能性、特に重奏低音を鳴らし続けられる魅力を推す。 マンドリン推しの人は、ブズーキよりは演奏が容易でメロディ弾きをしやすい点を推す。 傾向としては、リズム伴奏派とモーダル重視派はよりブズーキを好み、時にはメロディを弾いたりベースで遊んだりと演奏の幅を重視する人、技術力のある人はギターを好むようだ。もちろん、すごい技術を駆使するブズーキプレイヤーもいれば、モーダルもリズムもなんでもござれのギタープレイヤーもいるけどね。ある程度のことは演奏技術やセンスで解決できる。 さて、ここで一つの考えにたどり着く。 DADGADチューニングにした12弦ギターで、それぞれのいいとこどりをできないものだろうか。 12弦にすることで、ブズーキの持つ複弦の音色を楽しみながら、ギターの音域やプレイアビリティ(演奏性)を享受できないものだろうか? ネットを漁るとやはりそのように考える人はいるようで、11弦ギターをもってパブで伴奏をしてるが好評だぞ、と主張する方の記事を見つけた。11弦というのは、(この点の記載はなかったが)おそらく最高音のG弦を外している。また、彼の12弦ギターには一般的なオクターブ違いの弦ではなく、同じ太さの弦を貼っているそうだ。メリットは、その万能性、(必要な時には)大音量を出せること、音色が注目を浴びやすいこと、を挙げていた。他方ディメリットは、ネックにテンションがかかること、チューニングが大変であること、いろいろと注目を浴びやすい、だとか。 12弦あるからといって12弦全部を必ずしも弾く必要はないわけで、TPOに合わせて必要なときに必要な弦を鳴らすことができれば、凄い魅力なのではないかと思っている。伴奏ではなくソロで弾く場合にはとくにこの万能性が威力を発揮する。ドローンのように低音を鳴らし続けながらメロディも弾けるし、音域が広いので周ごとに変化をつけやすい。 12弦でアイリッシュ、Youtubeにも何本かあがっているが、ぜんぜん違うスタイルだ。 結局のところ12弦だからどうのではなく、それぞれの音楽性なんだな。

沖縄を感じるアイルランド民謡

  • Comment : 0

_ラララソ#ミラー、_ラララソ#ミレシ、_ラララソ#ミラー、ソ#ミレシラーーー、 曲名何だったかな。 沖縄音階はC調だと、ドミファソシド。A調だと、ラド#レミソ#ラ。第2音と第6音がない(特に第6音がない)のが特徴。 この曲だと、ファ#の音が出てこないことで、沖縄音階調になっている。 第6音(ファ#)と親和性の高い音を減らすこともコツなのだろう。 例えばA調の曲でレの音が多いと、Dの和音を入れたくなってくる。そうするとファ#を連想させる。 つまり、I-IV-V-IのIVになりにくいメロディが望まれるということだ。 同じく、シの音が多いと、やはりBやBmの和音を入れたくなってくる。これもファ#を連想させる。 つまり、I-II-V-IのIIもダメだ。サブドミナントがダメということか。 いろんな曲をあたってみると、サブドミナントが全てダメというわけではないが、基本的にはトニックでずっと演奏できるメロディで、たまにドミナントが出てくるくらいが良い。ドミナント(A調の場合はEメジャー)の構成音の「ミ・ソ#・シ」のうち、シの音は第2音なので、できれば弾かない方が沖縄音楽っぽくなる。 第7音をうまく使うと、ぐっと沖縄感が増す。第9音は、第2音はタブーなのに、むしろ沖縄感をもたらす。ドミナントのドミナントだからだろうか。 I