Elvis Costelloで有名な Charles Aznavour の”SHE”はどこで転調してるのか

Elvis Costelloで有名な Charles Aznavour の”SHE”はどこで転調してるのか

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Elvis Costelloで有名な Charles Aznavour の”SHE”はどこで転調してるのか

映画「ノッティングヒルの恋人」で有名になった「SHE」という曲。美しいメロディ、コード、Elvis Costelloの歌。てっきりコステロの曲だと思っていたが、原曲は Charles Aznavour が作ったもので、映画のためにコステロがカバーしたものだった。

さてこの「SHE」、構成はAABA。主調はD♭メジャー。

イントロ~AメロはD♭から牧歌的に始まるが、2小節目にdiminishコード。「彼女」を想い心が揺さぶられている様子にピッタリの不安定なコード。このdiminishは、Bメロの複雑なコード進行の伏線にもなってるような気がする。2小節目のEdim7は、Bメロ2小節目のEメジャーとパラレル感がある。diminish以外は極めてノーマルなコードで「彼女」を描きあげる。

Bメロの最初の4小節はAメロをなぞったようなメロディだが、コードはAメジャーで、Eメジャー、Dメジャー、C#メジャーと展開する。Aメロは♭系のコードだったので、ここで#系に頭を切り替える。おもしろいことに、Aメロ、Bメロ、ともにメロディの頭の音は同じ音(D♭・C#)だ。だが階名で口にするときはコードに倣って、Aメロは「レ♭ードレ♭ド」だが、Bメロは「ド#ーミファ#ソ#」のようになる。なおこの4小節、いったんEメジャーに転調して、経過的にDメジャーに転調し(効いてる!盛り上がりを抑制してる)、さらにC♯メジャーに転調しているようにきこえる。C#メジャーってことはD♭メジャーと同じだから、なにげに主調に戻ってきてる。

 

Bメロの後ろの4小節はこの曲のサビ。F#マイナーからBメジャー、Eメジャーとツーファイブ進行でドラマチックに盛り上げて再びEメジャーに転調し、C#メジャーを挟んで、shadows of the past のpast でE♭メジャーへ。あがってるのは一音だけだから自然だ。ここで再び頭を♯系から♭系に切り替える。階名では「ド#ーソ#ソ#ファ##ソソ#」「ソーミ♭ファソラ♭シ♭~」。コード的にはpastのソの音から、E♭メジャーの第3音だが、その前の「ファ##ソソ#」が移行部で、ここはコードはC#メジャーのままEbメジャーの「ファソラ♭」と読むべきなのかもしれない。C#メジャーに含まれずE♭メジャーの主要音である「ソ♮」音が移調の鍵か。そしてGdim(ここでもAメロの伏線が活きてる)を挟んでA♭メジャーで最高潮 till the day I die!   これで原調のD♭メジャーに戻れた。

 

この曲の美しさの背景には、dimコードを上手に使って、心の揺れ動き・不安定さを表現しながら、転調を上手に使って恋心の抑揚感を出し、でも抑制し、最後までためてサビで爆発させるという、「彼女」を想う歌詞に合わせたメロディ&コードコントロールがあるな、と思った。

タイトルの問い「どこで転調してるのか」に対する回答としては、Bメロの最初の4小節でそれまでのD♭メジャーから、Eメジャー→Dメジャー→C#メジャーに転調し、Bメロの次の4小節で再びEメジャーに転調(またはその次のC#メジャーも転調と言ってもよいかもしれない)し、Bメロの終わりの二小節で再びD♭メージャーに転調する、という感じだろうか。

 

※素人の分析なので、いろいろ間違ってると思う。

souji

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